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2005年08月09日

カタログハウスの「通販生活」は通販の歴史的事件でした。

90年代に入ると、カタログが専門化し、細分化してきました。

それまでの分厚い、デパートがそのままカタログになったような形から、ファッション、インテリア、食品、雑貨、と、専門化されたカタログが出されるようになりました。
婦人服、紳士服、子供服、雑貨など、各専門店のようなカタログが出るようになりました。

さらに、それぞれのジャンルでも、さらに細分化されて、ファッションならば、若い女性向け、あるいは、ファッションの傾向ごとのカタログ多く発行されました。

分厚いカタログを出していた会社からも、いろいろなカタログが発行されるようになりました。

通販カタログというよりも、ターゲットを絞ったファッション雑誌のようなカタログが出回るようになりました。
さらに、それまで無料で取り寄せていたものが、コンビニの雑誌と一緒に販売されるようにもなりました。

雑誌のようなカタログは、ユーザーにとっては、ファッションの情報を得ると同時に、購入もできるものでした。


ユーザーが、「欲しくないものは安くてもいらない」「好みのものなら価格に関係なく欲しい」と考えるようになりました。それに対応して、カタログは、ただ商品が並んでいるだけでは、売れなくなってきました。


各通販会社は、他社と違う独自の視点、コンセプトをうちたてていくようになりました。
コンビニや、書店の雑誌の棚に、いろいろなカタログが、まるでファッション雑誌のように並んだことを覚えている人も多いと思います。


もうひとつの理由が、カタログの制作費、配送費の問題です。
当時、購入経験者には、定期的にこの分厚いカタログの配送をしていました。
発行部数が増えることは、そのまま売上増につながりました。
しかし、なかには購入が全く止まってしまった購入経験者へも発送をしていました。
この制作費、配送費の節約というのも、もうひとつの課題でした。

また、発行数の増えた通販カタログの使う紙の量が多く、その紙のための森林伐採が問題になってきたこともありました。

ユーザーの発想の変化と、この制作費、配送費、また、地球環境の問題から、それまでの分厚いカタログは考え直す時期に来ていたのです。



こんな時代に、圧倒的な支持を集めたカタログがあります。
カタログハウスの「通販生活」です。

「通販生活」のカタログをご覧になったことがありますか?
商品の広告ページ以外にも、たくさんのコンテンツの入った、カタログというよりも雑誌の体裁をとっています。

カタログを発送する費用を考えたときに、第3種郵便という料金があります。
カタログハウスでは、この送料でカタログを送れば、カタログの郵送費をぐっと下げられると考えました。

カタログハウの創業者の斉藤駿さんは、著書のなかでこう書いています。


 「通販生活」の創刊は1982年だが、当時の郵便料金は、
 ・書籍小包 250グラムまで200円
 ・第3種   250グラムなら60円
  250グラムのカタログなら1冊当たりの配達料が140円も安くなるのだから、これは第3種の適用を受けなくてはもったいない。しかしそのためには、読み物をつけなくてはいけない。第3種郵便物は新聞、雑誌に限って適用するものだから、「カタログ(広告)ページが読み物ページを超えてはいけない」という定めを守らなくてはいけない。

                   (なぜ通販で買うのですか?・集英社新書より引用)


カタログハウスの「通販生活」は、商品数は少ないのですが、従来のカタログの商品紹介とは、まったく違いました。

商品によっては見開き2ページを使い、商品の由来、効能、製造の舞台裏、また、有名人の使用しての感想などなど、とても長い文章で説明がついています。

体裁は通販カタログなのですが、その中身は「単品通販」の集合体のような雑誌(カタログ)でした。
よく、商品説明の文章が長いと読まれないということを聞きます。
雑誌としての読み物も独自の視点があり、その文章を読みたくて購入した読者にとって、この長い説明文は、納得できるだけの内容を伝えてくれているのだと思います。

このカタログハウスの「通販生活」からは、歴史的なヒット商品、ロングセラー商品が生まれています。

なによりもヒットしているのは、この雑誌(カタログ)かもしれません。
発行部数は100万部を超えているそうです。日本で発行されている雑誌のなかでもトップクラスの部数と聞きました。

カタログハウスの「通販生活」では、世界平和、地球環境についての話題も、とても豊富です。カタログの配送費の課題の克服以上に、このスタイルを続けることで、カタログハウスの「通販生活」のブランドが同時に構築されてきたと思います。

このカタログハウスの「通販生活」の成功が、その後、「単品通販」のひろがりに勢いをつけていくことになります。



※斉藤駿さんのなぜ通販で買うのですか?・集英社新書は、日本の通販の歴史と、カタログハウスの歴史、また、「なぜ通販で買うのか?」というお客さんの心理をとてもきめ細かに書かれた良書です。通販、ネットショップをされている方には、一読をおすすめします。


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Posted by hitoshi at 14:23│Comments(0)通販ノート
 
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